宣材写真 – 綺麗に見せたい
宣材写真 – 綺麗に見せたい
誰もがそう言ってスタジオの門をくぐります・・・
私は尋ねます・・・『なぜ?』
相手はこう答えます。『オーディションに合格したいから・・・』
『オーディションに合格するために綺麗に見せる宣材写真を撮る』と言う事は、『
普段の私の姿はオーディションに合格できるような綺麗な姿ではありません』
という言葉の裏返しでもあるのです。
つまり、『普段の私はこんな綺麗じゃありません!! 』って宣言してしまっているようなもんなんです。
そんなカメラの前でだけ、カメラマンに教えられた小手先のテクニックだけでオーディションに合格できるなら、私が今頃モデルになってます。はい。
良く、うちのスタジオに『綺麗に見えるように撮ってください』って来るんだけど、プロのカメラマン捕まえて失礼な話だと思わない?
だってプロなんだから、そりゃ綺麗には撮れるわよ・・・写真はね・・・
でもね、あなたが写真で綺麗に見えるかどうかは、今まであなたが綺麗に見せられるようにどれだけのことをしてきたかじゃない?
綺麗な人はカメラの前で何もしなくても綺麗だし、カメラの前に立たなくても普段から綺麗な人は綺麗なの・・・便所のスリッパ履かせて直立不動で立ってても絵になるんだからさ・・・笑
だからS字ラインで立つ!?
おいおい、みんな知ってるか?
S字ラインって、ただ体をS字に描けば綺麗に見えるってもんじゃないんだぞ!?
S字ラインって、それを美しく見せるための体幹やそれを支えるための筋力があって、初めて美しく見えるんだぞ!?
『これからモデル始めます』なんてのが、いきなりカメラマンに言われた通りやったって、『言われたとおりにやりました』ってS字ラインみたいなポーズを作るだけで、本当のS字ラインの美しさなんか表現できていないんだからさ・・・無理しない方が良いよ・・・
うちのスタジオでこれやろうとしたら、普通はだいたいみんな次の日、筋肉痛だから・・・笑
みんな勘違いしないでね・・・S字ラインをすれば誰でも綺麗に見えるわけじゃなく、綺麗な人がS字ラインをやるから綺麗に見えるんだからね?
それに本当に綺麗な人は、そんなこと意識しなくても綺麗なたたずまいだし、結果としてS字ラインになっている・・・だけのことだから・・・
そもそも、S字ラインを意識しないと作れない時点で、S字ラインをものにできていないわけだから、綺麗な自分を魅せられているわけがない・・・と言う事に気づこうか・・・
『綺麗に見えるように撮ってほしい』っていうけど、あなた本当に『綺麗』でオーディションで勝負するつもりなの?
ってことなの・・・
だって、綺麗で勝負するからには、そのオーディションにどんな人が何人応募してるのかわからないけど、そのオーディション参加者全員に『綺麗』で勝たなきゃいけないわけでしょ?
ホントにできるの?大丈夫?自信ある?
もし仮に、『自分が綺麗に見える宣材写真』が撮れたとして、自分でも充分納得できる写真ができたとして、それをオーディションに送って、書類選考すら引っかからなかったらどう?
あなた、相当痛いわよ?
もしかしたら、再起不能になるかもよ?
(これ読んで、笑ってる場合じゃないわよ・・・)
上には上がいる、だから・・・
同じ土俵で勝負をしてはいけない・・・と言う事・・・
『じゃあ、いつまで経っても勝てないじゃん・・・』
っていう人がいますが、オーディションって別に他人に勝つ必要なんかないんです。だって、スポーツや試合をしてるわけじゃないんだからさ・・・
ただ『必要』と認められればいいだけなんです。
他人と無理して勝負なんかする必要ありません。勝負をするから負けるのです。
オーディションとは
本来勝ち負けを争うものではなく、見る側からしてみれば必要な何かがそこにあるかどうかを探すためのものであり、エントリーする側は自分と言うものをしっかり伝えることで、必要な人材であるかどうかを見極めてもらうためのものであり、オーディションで残れなかった場合は、必要な人材ではなかったというだけのこと・・・
他人と争おうとするから結果優劣が生まれるのであって、自分にしかないもので勝負をすれば、それが必要あったかなかったかだけのこと・・・
カメラマンが宣材写真を撮る上で、皆さんにしてあげられることなんて本当に少ないんです・・・
だって、シャッターボタン押すだけだもん♪
『こんな風に・・・』『あんな風に・・・』と言うのは、皆さん自身がまず考え行動しなければいけないことなんです。
『こんな写真が欲しいから、こういう風にしよう』『あんな写真が撮りたいから、あんなふうにしよう』ってね・・・
それをいきなり『どうすれば良いですか?』なんて聞くのは、その時点で写真に自分が写っているのではなく、カメラマンに指示されたとおりにやっている自分でしかないと言う事・・・そこには自分らしさのみじんもないし、おそらくそういう人は言われた通りにやったつもりになっているだけで、言われたことすら出来ていないことの方がほとんど・・・
だから、納得いかない写真になるのもわかる気がする・・・
でも、それで良い!
だからこそ、うちのようなスタジオが駆け込み寺になり繁盛するわけだから・・・♪
本当に増えた・・・笑
『何とかしてくれ』って依頼が・・・
今、宣材写真を申し込んでくる人の半分くらいは、他所のスタジオで撮った写真を見せて『何とかして』『ひどくない?』と言う相談である。
でも、正直な話をするとね?
『そんなこと言われても、私にはわかんない』なの・・・
だって、私あなたのこと何にも知らないもの・・・もしかしたら、本当にその写真に写っている通りの人かもしれないじゃない・・・ってこと・・・
私が持っている撮影技術は、写真を綺麗に見せる技術であって、あなたを綺麗に見せる技術ではありません。
みなさんを綺麗に見せられるかどうかは、被写体である皆さん自身にかかっていると言う事なんです。
最後に、弊社が色んな取引先・クライアントに提出しているプロフィール写真です。
どうですか?
意外とシンプルと言うか、味もそっけもないでしょ?
S字ラインなんて誰もしてないでしょ?上から下まで真直ぐ立ってるでしょ?
クライアント側が見たいのは、綺麗にごまかした姿ではなく、良くも悪くもごまかしのない自然な姿です。
それが綺麗かどうか、もしくはクライアントの意に沿うものなのかどうか・・・と言う事なんです。
髪でフェイスラインや目・首元を隠したり、体を重ねて都合の悪いところを隠したりするような写真は使い物にならないんです・・・
第一、そんな小手先のテクニックではオーディションに合格するとも思えませんし、そんなことで合格してしまうようなオーディションでは、写真や人を見る目がよっぽどない人たちの集まりなんじゃないでしょうか・・・